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Thread (1129 ) -- 雄の核だけで子供ができる!??
No. 2352--べ. No. 2353--べ.
No. 2352 (2018/10/14 07:29) べ

2004年に農工大の河野先生らのグループが新生児の卵母細胞(ng卵)は脱メチル化されていることに着目し、H19をKOしたマウスのng卵の核と成熟卵(fg卵)のパルテノ胚を作製すると子供が生まれることを報告しました(スレッド番号704)が雄の核だけで作るアンギオ胚からの子供は報告されていませんでした。

今回は中国のState Key Laboratory of Stem Cell and Reproductive Biology(私、学会で前に行ったことがあります!)のBao-Yang HuさんのラボからハプロタイプES細胞を作って培養を続けると脱メチル化状態に近づけることに着目して、ハプロタイプES細胞を使えばbimaternal胚やbipaternal胚から産仔が得られるという報告がなされました。

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1934590918304417?via%3Dihub

河野先生らの報告ではbimaternal胚の作製にH19のKOを使用しても1%以下の確率でしか子供が生まれませんでしたが、この論文ではhaploid ESでH19 とDlk-Dio2 intergenic region (IG)の2つあるいはrasgrf1を加えた3つKOしたESを使うと10数%の高効率で子供が得られると報告しています。

面白いのは2KO-bimaternalマウスはワイルドよりも長寿命であったという結果です。へ〜!これらは寿命の観点からは「ないほうがいい」遺伝子っていうことでしょうか?でもこの2KOマウスは動きがノロいのでさらに3つ目のKOを導入することによって野生型のような単為発生マウスができたそうです。2KOでは血中コレステローフが低値なのですが3KOにすると野生型並に戻っています。多分、寿命も野生型と同じになったんでしょうね!

さてbipaternalのほうですがハプロタイプESを使ってbimaternalと同じように作ってもE8.5くらいで発育が止まったそうです。ちなみにこのハプロタイプESは6つのインプリント遺伝子(Nes- pas, Grb10, Igf2r, Snrpn, Kcnq1,Peg3)がKOされたものを使用しています。よくこれだけ揃えましたね!それにこれだけの多重KOをESで作れるというのはやはりCrisprのおかげでしょうね!

さて、最初はうまく行かなかったのですがここで彼らは諦めなかったのです!そのままでは死亡するbipaternal胚からbipaternalなdES細胞を取り、これををテトラプロイドのブラストシストにインジェクションすることによってbipaternalの産仔を得ることに成功しました!うまくいくかどうかはわからなかったはずなので、この粘りと頑張りはすごいですね!でも確率が1.2%程度と低いのでさらに7つめのインプリント遺伝子領域(Gnas)をKOしたESを使うと2.5%が生まれるようになったそうです。

今の所、これらbipaternalマウスは生まれはするものの48時間以内に死亡するようなので、新聞などではでに取り上げられていたので、ひょっとしてホモのカップルでも子供が得られるということになったのか?と期待して読んだのですが今の所そんなふうにはならないようです。でもこの研究の馬力はスゴイなと思いました!


No. 2353 (2018/10/14 09:48) べ

訂正

アンギオ→アンドロ コレステローフ→コレステロール


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