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Thread (1133 ) -- 遺伝子編集ベイビー
No. 2359--べ. No. 2360--べ. No. 2361--あ. No. 2371--べ.
No. 2359 (2018/11/26 07:26) べ

https://www.nature.com/articles/d41586-018-07545-0?utm_source=briefing-dy&utm_medium=email&utm_campaign=briefing&utm_content=20181126

初の遺伝子改変Humanの双子の女児、LuluちゃんとNanaちゃんが生まれたそうです。ただし論文として投稿されたわけではないので正確な遺伝子のデータなどは不明です。これをやったのはHe Jiankuiさんで英文のHe(彼)と紛らわしいのです。もしも彼の名前がSheだったらもっとややこしかったかもしれません。

くだらない冗談はさておき、医学倫理委員会に対する審査請求書がネットで読めます。読めるところを読んでみるとCCR5をCRISPR-CAS9で編集するとなっています。こんな書類がネットで閲覧できるとは驚きですが申請者の電話番号まで載っているのは更に驚きです。日本では書類の開示はノリ弁みたいに真っ黒けになったものが普通ですが中国では極めてオープンです!そのうちサイトがクローズドになるかもしれないので見たい方はお早めに! http://www.chictr.org.cn/uploads/file/201811/bb9c5996d8fd476eacb4aeecf5fd2a01.pdf

この赤ちゃんの親がAIDS患者なので感染がおこらないようにエイズウイウイルスのレセプターであるCCR5に変異を入れて感染しないようにしたというのが骨子です。これまでにAIDS患者から感染のない赤ちゃんを取り上げた例はたくさんあるので、この遺伝子治療がリスクとベネフィットのつり合ったものだったのかが議論されると思います。

Heさんはゲノム編集を肯定する立場から論文ではなくYouTubeで世界に語りかけています。 https://www.youtube.com/watch?v=th0vnOmFltc HD解像度のよく準備されたビデオで、ヒト遺伝子編集推進のために私は立ち上がる!というメッセージを発しています。開示後の22時間で9.9万回の視聴はいがいと少ないなと思いましたが、ビデオの最後に議論はいくらでも受けて立つということでラボのemailアドレスも載せており、戦闘体制は万全のようです。これ以外にもこの遺伝子編集の理論的なバックグラウンドなどを一般のヒトにもわかりやすいように解説したYouTubeが数本uploadされています。

ヒト遺伝子編集の幕開けとなるか?


No. 2360 (2018/11/30 01:33) べ

香港で開かれたヒトゲノム学会で初のヒトゲノム編集を行ったHeさんが講演した様子がQ&Aとともにネットで公開されていたので見てみました。

https://livestream.com/accounts/7036396/events/8464254/videos/184103056

司会は昔ノルウエーで開かれたTestis Workshopの余興で行われたスキーの回転競技で伊川さんに競り勝ったRobin Lovell-Badgeさんでした!彼もあのときよりだいぶ老けましたね!

何個の卵子にCRISPR-Casを投与してどのくらいの功率だったのかといった我々が具体に知りたいデータがない具体性に欠ける発表でしたが、サルでの予備実験をやったりESのmultipotencyをみたり、全ゲノムシークエンスありーの、HIVウイルスの感染実験ありーのと幅広い分野をカバーしています。この若さでこれを全部やる研究費と人材はどう工面したんでしょう?かなりのバックアップがあったのでは?というのが私の印象です。

今回の結果は数誌に投稿したと言ってましたが、おそらく全部リジェクトされたということだと思います。(それで病院も大学も掌返しか???(^^;)

ヒトゲノム編集をしてもいいのか?というのは宗教の問題で、CCR5をKOする正当性は?という議論のみが科学の領域に属します。RobbinはCCR5遺伝子の機能は完全にわかっているわけではない。CCR5の欠損はヨーロッパ人には見られるがアジア人では少ない。アジア人のgenetic backgorundでは免疫的にCCR5が生存にプラスになる働きがある可能性はないのか?という質問をしていましたがすれ違いの答えしかありませんでした。

今回は医学的(科学的に)に遺伝子編集による治療の意味があるとは思えないという指摘のほうに軍配を上げざるをえないと思います。David Baltimoreさんは遺伝子編集は透明性のあるプロセスで安全性が担保されてからでないと行うべきではないという意見をのべていましたが、これは究極的には行ってもいいのかわるいのかという宗教に属する問題になると思いますのでここではコメントなしにします!


No. 2361 (2018/11/30 03:33) あ

宗教の定義は難しいです。でもそれこそいろいろな説・定義がある中で最も端的で本質な定義は「宗教とは行動基盤である」という社会学の巨人、Max Weber(独:1864-1920)の定義である・・・とは故小室直樹博士の受け売りです。

でもこの定義が優れているのはイデオロギーもまた宗教といえるところで、つまるところ「科学」も宗教の一種と明快に理解できるところです。 (宗教という言葉も江戸時代末期〜明治時代に作った造語で(religion=「再び(神と)結びつける=繰り返して読む」の意=経典宗教(この場合キリスト教をさす)の影響をもろに受けている)、それまでは「宗門」とか「宗旨」などと言ったのが普通で「仏門」「耶蘇」、儒教とて学問的側面では「儒学」といっていたといいます)

従って医学的にも科学的(=宗教の一種)にも、今の段階でこんなことやっていい道理は全くない(ストレートにいえば「いいわけないだろ!」)と言い切れると私は思います。

むしろ「べ」さんの指摘にある「研究費と人材はどう工面したんでしょう?かなりのバックアップがあったのでは?」は重要な着目点だと思います。

中国国内からも沢山の批判が起こっている点はもっと評価されてもいいのでは・・?


No. 2371 (2020/01/09 08:46) べ

試験管ベイビーのHeさんが中国の人民裁判所(?)で懲役3年という有罪判決を受けたそうです!訴えたのは中国政府で刑事事件なんでしょうか? 中国の裁判システムを良く知りませんが控訴はありえるのでしょうか?

https://www.nature.com/articles/d41586-020-00001-y

ついでにというか US$430,000の罰金も言い渡されたそうです! これって4500万円です!

Heさんを助けた研究者も共犯として罰せられたと書いてあります。裁判をやってるとは知りませんでしたが懲役3年という実刑は重いのか軽いのか? 皆さんはどう思われるでしょうか?


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