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Thread (1173 ) -- 3種の幹細胞を混ぜてin vitroでE8.5のエンブリオを作る!
No. 2413--べ.
No. 2413 (2022/09/06 11:19) べ

ES細胞(ESC)は内細胞塊(ICM)から樹立される幹細胞で生殖細胞を含め体のあらゆる細胞に分化する能力がありますが、ICM由来なので胎盤に分化できないという弱点(?)があります。

胎盤の主要な構成細胞はトロフォブラストと言われますがES細胞風にトロフォブラスト幹細胞(TSC)っていうのができることが知られていました。

っていうことはESCとTSCを混ぜると大量の卵子を作る事ができるんじゃないかと多くのひとがトライしたのではないかと思うのですがこれまでうまくいったという報告はありませんでした。

諦めずに続けるかぎり失敗にはならないと言われるもののうまくいくはずだという信念がないと困難を乗り越えるのは難しいと思います。今回、Magdalena Zernicka-Goetzさんのグループが幹細胞を混ぜ合わせて胚を作ることに成功したと報告しています。in vitroでESCから精子や卵子ができるという報告とあわせ、この論文も歴史に残りそうです! https://www.nature.com/articles/s41586-022-05246-3

私はシロートなので詳しいことはわかりませんが、極簡単にいえば、接合子は生体を形成する上胚葉(epiblast)、卵黄嚢を形成する胚外内臓内胚葉(VE)、胎盤を形成する胚外外胚葉(ExE)の3つの種類の細胞群からできているのでこれら3種の幹細胞をmixしたらうまく行ったということでしょうか?

幹細胞3種を混ぜて静置培養で8日胚まで生育させ、その後回転培養にうつして8.5日胚相当まで分化することが示されています。形はちょっとイビツかなと思いますが、in vitroだけで前脳と中脳が明確に別れた頭部を形成し、心臓の拍動、神経管と体節からなる体幹、神経中胚葉の前駆細胞を含む尾芽、腸管、始原生殖細胞が認められるということです!あちゃ~!すごい!

IVF後の培養可能時間がだんだん後ろに伸び、早産をrescueする方法がだんだん早期に向かっており、両者が出会う時がくるのはそれほど遠い未来ではなさそうです。もしそれが実現すると、この論文が示しているのは我々は幹細胞を3種混ぜることにより、無限の数のクローン子孫を「生産」できるということですよね。

SF風に考えるとたくさんの子孫をたくさんのロケットに乗せてたくさんの星に向けて打ち上げることによって地球が滅びたあとも「人間」は宇宙のどこかで生き残っているというシナリオが浮かんできます。


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