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Thread (1177 ) -- スゴっ! 不老不死達成か???
No. 2417--べ.
No. 2417 (2023/01/13 04:31) べ

今年もいっぱい大発見がなされるであろうと期待していましたが、いきなり大発見がきました!老化のメカニズムの一端が明らかになりました。染色体にダブルストランドブレーク(DSB)が入るとゲノムワイドなエピジェネティックな変化が起こりそれが老化につながるそうです。 さらに老化マウスに山中ミックスを発現するアデノ随伴ベクターを投与するとマウスが「若返る!」そうです!不老不死の薬を求めた秦の始皇帝が聞いたら涙を流して喜ぶ大発見です! https://www.cell.com/cell/fulltext/S0092-8674(22)01570-7

長いのでかいつまんで紹介しても長くなってしまいました。サプリメントは読んでいません。以下は長過ぎるとおもいますので興味の有る方だけ読んでください。

DNAにおこる突然変異の蓄積が老化であるという説はかなり一般的に信じられていると思います。しかしこの論文はDNAの変異がダイレクトに老化につながっているわけではないという主張の論文です。なるほど、そういえば老齢マウスからクローン技術で若々しいマウスを作製できるという若山さんの研究によって「老化突然変異蓄積説」はマウスにおいてすでに否定されていたともいえますよね。

しらなかったのですが、これまでに酵母や哺乳類を使った研究で老化はダブルストランドブレーク(DSB)が主因ではなくH3K9me3(クローン作製効率を下げる)を含むいろいろな因子が関与するエピジェネティックな変化が老化につながっていると言われていたみたいですね。この論文は生きたマウスを使いエピジェネティックが老化に関係しているということを示したものです。

彼らはマウスの体内でDSBをI-PpoIという特殊な制限酵素をTGマウスで発現させて研究しています。この酵素はマウスのゲノム中に20箇所しか切断部位が存在しないそうですが、これをタモキシフェンで一過性に発現させてDBSを作成しタモキシフェンを抜いて修復させたあとその影響を見ています。X線など大量のDSBを起こす方法ではなく染色体の20箇所という些細なDSBの影響を見たというところがミソです。

このTGマウスにタモキシフェン処理をするとあら不思議!マウスに脱毛、白髪、前弯、体重減少などが起こるそうです!脳にも加齢の症候が見られるそうです!細胞でも老化関連b-ガラクトシダーゼ(SA-b-Gal)活性、IL-6、Ccl2、Ccl20、LINE-1、IAPなどをしらべると老化が起こっていることが示されています。

この老化はI-PpoIによる特異的な反応ではなく、染色体の少数の別の箇所を切る別の酵素SceIを用いても老化が起こるのでDSBが起こる自体が老化を引き起こすと記されています。ではなぜそんなことがおこるのか?ですが彼らはDNA修復が、空間的なクロマチン同士の接触や隔離、Promoter-enhancer間のコミュニケーションなどのエピジェネティック情報が変化しているのだというデータを提示しています。要するに紫外線であれ薬物であれどんなDBSが起こってもそれは老化につながるということを示してるようです!

論文はさらに続きます。 エピジェネといえばクローンやiPS細胞が思い出されます。山中mixを発現させるアデノ随伴ウイルスベクターを投与して老化マウスのエピジェネに影響を与えると細胞には「エピジェネ状態のバックアップ情報」があって「マウスが若返る!」と書かれています。

先行する別の実験では山中ミックスを発現させるアデノ随伴ウイルスベクターの投与によってマウスの緑内障が直せたと報告されているようです。 この論文は家からなのでまだ読めていません! https://www.nature.com/articles/s41586-020-2975-4

すごい論文だと思いました。老化のメカニズムを明らかにしただけでなくそれを治療?するところまで超広範囲の研究が含まれているのは驚きです。ひょっとしたらレフリーのコメントに正面から答えてるうちにこうなったのかなと勘ぐってしまいました。老化と発生は裏表の関係なんですね! どなたか論文のウラ事情をご存知の方がおられたらコメントお願いします。


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