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Thread (1184 ) -- クローンの初期化に迫るTNT初期化法??
No. 2429--べ.
No. 2429 (2023/08/24 10:41) べ

私は転写因子の名前やクスリの名前、それから競馬馬などのなんとなくふざけた名前を覚えるのが苦手なのでそういう分野からは遠ざかっています。でも分化の話にはいろんな因子の名前がやたら出てくるのでしかたなく付き合っていますが、転写因子の深いことはあまり知りませんが、面白そうなので紹介します。

iPSの話題もやや落ち着いてきたかなと思いますが、今回のNatureの論文ではiPSにSCNT(クローン)に匹敵する?ような初期化を行える方法が見つかったと書かれています。https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37587336/

iPSはヒトのファイブロブラストに、ヤマナカMixとしてOCT4、SOX2、KLF4、c-MYC(OKSM)を仙台ウイルスなどを用いて導入して作製します。そのあとbFGF、アクチビンA、インスリン、トランスフェリンなどを含むプライム培地で培養するというのが基本になっているようです。

今回の論文では、その培地で培養する前にLIF、2iなどを含むナイーブ培地で短期間培養しておいてからプライム培地に移すと(TNT法) 通常のiPS細胞よりもエピジェネ的にES細胞に近いものができることをゲノムのDNAメチル化のパターンなどを調べて示しています。

isogenic再プログラミング実験って言うのもやっていて、これはhES細胞を樹立したあとこれをファイブロなどに分化させたものから、再度iPS細胞を作り出すというもので、その時にTNT法を使うと普通のiPSよりも初代のES細胞にいろんな指標で近くなっているということです。元のESとファイブロブラストなどを経て作られたTNT_h_iPSは遺伝子的なバックグラウンドが一緒なので正確な比較ができるということです。これをisogenicな実験というふうに名付けています。

多分彼らはTNT法を使うとSCNT(クローン)で達成できる初期化に近いものが可能であるということを言いたいのだと思い、この文章のタイトルにも書いてみました。 以前はhESを樹立するだけでも大変でしたが、いまはそこからフィブロブラストとかいろんな細胞に分化させて、そこから再度iES細胞に近いiPSができるようになってるんですね!

スゴイ!


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