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Thread (1232 ) -- 究極の遺伝子治療は受精卵だがそれはいつ?
No. 2487--べ.
No. 2487 (2025/11/07 06:48) べ

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2504747

遺伝子編集によって遺伝病を治すという試みがなされていますが、今回はアンモニアの代謝ができない赤ちゃんの変異酵素を野生型にバックミューテーションさせるという治療の成功が報告されました。 これまでに、がん(白血病)、血液疾患(βサラセミア・SCD)、失明疾患、アミロイドーシス、T細胞白血病、脂質異常症、血管性浮腫などの成功例があるようですが、幹細胞を取り出して細工してから戻すというCAR−T系のものが目につきます。直接vivoに投与して編集する例もありますが、今回の遺伝子治療が画期的(と著者らが言う)なのは患者のポイントミューテーションをバックミューテーションさせてなおすという個別治療を成功させたからという事になっています。

今回遺伝子編集に使われたアデニン塩基編集(ABE)とはDNAを切断しないで「AをGへ変化」させる事ができる系だそうです。もちろんどのAを変異させるのかはgRNAで指定します。赤ちゃんの静脈にLNP(リピッドナノパーティクル)に包んでABEを入れると肝臓の40%の細胞をトランスフェクトできるんだそうです。普通のCRISPR/Cas9に比べるとDNA鎖の切断がないので安全性が高くオフターゲットの置換の可能性も低いと書かれています。CRISPR/Cas9システムよりも安全ならABEが遺伝子治療の主流になるかもしれませんね。(アデニンのAじゃなくてシトシンのCを置き換えるCBEもあるそうです)

こういった遺伝子治療は生殖細胞の遺伝子には影響をあたえないので、許可になるわけですが、安全性がつみあげられれば受精卵にLNPをふりかけて遺伝子治療が行われる日もそのうちにくるかもしれません。どうお思いですか?


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