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| Thread (949 ) -- マウスの精子は二度透明帯を通過できる
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| No. 2053--井上@阪大微研. |
| No. 2053 (2012/02/21 10:43) 井上@阪大微研 |
遅ればせながら、手前味噌になりますが、昨年の11月にpublishされた我々の論文をかいつまんでご紹介致します。 Inoue, N., Satouh, Y., Ikawa, M., Okabe, M., and Yanagimachi, R. (2011). Acrosome-reacted mouse spermatozoa recovered from the perivitelline space can fertilize other eggs. Proc Natl Acad Sci USA. 108 (50). 20008-20011. (http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22084105) 詳しくは、特定領域研究「生殖系列の世代サイクルとエピゲノムネットワーク」のHPにある理研CDBの小倉先生による、非常に分かり易いご紹介文 (http://www.brc.riken.go.jp/lab/mcd/germline/J06publication-022.html)や、 新学術領域研究「動植物に共通するアロ認証機構の解明」のフォーラムのページ (http://allo-authentication.net/forum/?page_id=5&post_id=435) を参考にして頂ければ幸いです。 多くの動物種で、精子は先体反応を起こさなければ受精することができません (例外もありますが)。 先体反応は透明帯に接触することで誘起され、アクロシンに代表される先体内の酵素が作用し、精子の透明帯通過を容易にしているという定説が長い間信じられてきました。 今回の実験から、「先体内酵素がほとんどない囲卵腔内の精子を取り出して、新しい未受精卵に媒精すると、もう一度透明帯を通過し、受精することができる」ことが分かりました。 このことから、精子は先体反応さえ起こすことができれば、受精できるということになります。どこで起こすのかは、それほど重要なことではありません。 実は、この実験は1984年にSeidelさんらのグループによって、ラビットの精子と卵子を用いて証明されています (http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/6714454) し、マウス以外のほ乳類では透明帯に到達する前に先体反応を起こすことは、それほど珍しいことではないことから、上記の定説に一般性がないことが分かります。 それでは、先体内に豊富にある先体内酵素の役割は何でしょうか? 筑波大学の馬場先生のグループが中心になって、これらの酵素のノックアウトマウスを精力的に作製されていますが、ほとんどの場合は、妊孕性にそれほど影響を及しませんでした。しかし、アクロシンとPRSS21のダブルKOは、雄の妊孕性が野性型の約半分になり、その原因は、ダブルKOの精子がクムルスや透明帯を通過し難くなることであることが報告されました (http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20484738)。 アクロソームには、多くのタンパク質を含むstickyなアクロソーマルマトリックスが存在していることが知られています。このダブルKOのフェノタイプとして、IZUMO1を指標に先体反応を調べると野性型と大差なく先体反応が起きます。ところが、CBBで先体に残っているタンパク質を調べてみると、ダブルKOでは常にCBBで染色され、一見、先体反応が誘起されていないように見えます。 もしかしたら、ダブルKO精子は酵素活性が低下しているので、アクロソーマルマトリックスを分解できないのではないでしょうか? ダブルKOはマトリックスが分解されないので、先体内膜にマトリックスがへばりついたままになっているのではないでしょうか? その結果、透明帯に切り目を入れていると言われている尖った穿孔器が、マトリックスに覆われているため機能できないので、透明帯通過をし難くなるのではないでしょうか? この論文をきっかけに、いろいろと妄想しています。 |
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